マンガ『刻刻』感想・レビュー|【設定が秀逸】時の止まった世界SF

こんにちは。
zero-point-fiveです。

時間停止系のマンガ『刻刻』。
時間停止の設定は数多くありますが、『刻刻』はその中でも独特の世界観を含んだ傑作です。

本記事ではその魅力について解説します。
コミックスは8巻で完結しており、長すぎず・短すぎずでサクッと楽しむこともできます。

概要

まずは『刻刻』の概要です。

作者名	堀尾 省太
出版社	講談社
掲載誌	モーニング・ツー
巻数	全8巻
ジャンル	SF・サスペンス
アニメ化	○
評価（honto）	4.3（5点満点中）
あらすじ	佑河樹里は失業中の28歳。家では父・貴文と兄・翼、じいさん三代のダメ男がヒマを持て余している。ある日、甥・真が翼とともに誘拐される。身の代金を渡す期限に間に合わなくなった時、じいさんは佑河家に代々伝わるという「止界術」を使い、世界を“止めた”。 だがあり得ないことに、救出に向かった先で樹里たちは自分たちの以外の“動く”人間に襲撃される。そしてパニックの中、異形の存在「管理人」が現れ、襲撃者の一人の頭を捻り潰した。 謎の宗教団体・真純実愛会にさらわれた家族を救うため、樹里たちは祖父がひた隠しにしてきた術を使い森羅万象が止まった世界「止界」に飛び込む。　だが、誘拐犯たちのアジトに乗り込んだ樹里たちは、自分たちと同じく、止界の中で動ける者たちに遭遇する。　異形のモノが跋扈する世界を抜けて、元の日常に戻れるのか？

『刻刻』は堀尾氏のデビュー作で、色々な著名人からも高く評価されている作品です。
マンガ大賞2011にもノミネートされていました。

予測不能な独特の世界観

物語の設定の柱は「時間が止まった世界」です。
「止界術」という特殊な方法を使って、時間が止まった世界に入ります。この「時を止める術」と「時が止まった世界」の主導権争いを巡ってストーリーが展開されて行きます。

そして、このマンガの魅力はその止まった世界の描写です。
止まった世界なので、人物や生き物・事象は静止したままで、景色のように上手に表現されています。
特に作中で「水」を使うシーンがあるのですが、液体感と固体感がうまく表現されていて、具体的には水をすくうとすくったところが穴となって残ったままになっていたりします。

静止した世界で気になるが物理法則ですが、そこは早々に登場人物から「よくわからない」と説明させることで違和感を払拭させています。
ただ「よくわからない」ながらも、所々でどんな法則があるのかを読者にわかるようにストーリー展開がされています。

この「時間止まった世界」は、「なんでもあり」ではありません。
一定のルールがあり、このルールが予測不可能な独特の世界観と、一貫した「不気味」な雰囲気を醸し出します。
「時間が止まった世界」では何ができて何ができないのか？何が起こるのか？
読者の予想の先を行く展開が待っています。

家族を中心とした登場人物それぞれの思惑

「時が止まった世界」と「その世界のルール」を舞台として、更に作品の魅力を上げるのが登場人物です。
主人公を中心とした、主人公家族。
そして止まった世界を手に入れようとする敵対組織。

主人公側の家族は、各キャラクターの性格と家族内での立場・立ち位置を起因とする思惑が交錯し、各キャラの行動がストーリーを思わぬ方向に運んで行きます。
また敵側の組織も、組織構造と敵側の個人の思惑を起因とし、裏切りなどの駆け引きが発生します。

物語を読み進めて行くうちに、厚みが出てくるキャラクターも魅力的です。

ストーリーを盛り上げる特殊能力

「時が止まった世界」「魅力的なキャラクター」だけでも十分ですが、更に盛り上げる要素が「特殊能力」です。
バトル漫画ではよくある特殊能力を使ったバトル、「時が止まった世界」を奪い合う話なので、敵対組織とのバトルは当然あります。
ここではネタバレ回避のため特殊能力について説明しませんが、この特殊能力がストーリーを更に盛り上げてくれます。

特殊能力を使ってどのように戦うのか？途中で特殊能力を手に入れるシーンもあります。
ストーリーのクライマックに向けて感動のシーンもありますが、この特殊能力なしでは語れません。

まとめ

全8巻でテンポも良いので、短時間でいっきに読んでしまうと思います。

『刻刻』は、人によって好き嫌いが別れるかもしれません。
SFやサスペンスが好きな人、どことなく寄生獣に近い雰囲気もあるので寄生獣が好きな人にはおすすめです！

アニメ化もされているので、サクッと映像で見たい人はアニメもおすすめです。

アニメでも見れます

2018年1月〜3月でアニメが放送されていました。
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